何年も買ってもらっていない古びたパジャマから中学校の制服に着替える。家族と顔を合わせるのが辛い。苦しい。それでも今日は昨日言えなかったことを言わないきゃいけないから……。

リビングへ向かう階段を一段ずつ降りていくと、リビングからは楽しげな声が聞こえてきた。

「亮平(りょうへい)はまたテストで百点取ったんですって?」

「すごいなぁ。今度、ほしいって言っていたゲームを買ってやろう」

「本当!?じゃあ次のテストも頑張るよ!」

この空気の中に入りたくない。それでも、体は自然とリビングのドアを開けてしまう。期待してしまう自分が心のどこかにいるんだ。またあの時みたいに愛してくれるんじゃないかって……。

「お、おはよう……」

私がそう言い、リビングに入ると冷たく睨み付けられる。それは一家団欒の場を邪魔するなと言いたげだ。……私だって血がつながってのに。

「ねえ、さっさとご飯食べて出て行ってくれない?あんたと同じ空気を吸うなんて耐えられないから!」