涙の先にあるのは、きっと

「そのかばんの中に五百万円入っています。亜梨沙ちゃんを僕たちにください」

お父さんがそう言った後、次にお母さんが激しい怒りをその目に浮かべながら言う。

「あなたたちがしたことは心理的虐待です!!心理的虐待は子どもの心を殺します。脳にダメージが残り、聴力や視力に影響が出ることもあるんです!!なぜあなた方はこんなひどいことができるんですか!!」

あの人たちは驚いていたけど、大金を目にして「そんなのくれてやる」と言った。ああ、やっぱり私はいらない子なんだ。

「そんな顔しないの」

俯いた私に、愛ちゃんが笑顔で言う。

「私たちが家族なんだから。幸せになろう」

「うん……!」

私は涙を拭い、笑う。私はこれから幸せになれる。もう苦しまなくていい。

「よし!今日はお寿司でも食べに行こう」

家から出た後、お父さんがそう言う。私たちは「賛成!」と笑った。



それから数年後、私は密かに憧れていた歌手になって活躍できるようになった。ドームツアーをしたり、ドラマや映画の主題歌を歌ったりと忙しくも楽しい日々を過ごしている。