涙の先にあるのは、きっと

久しぶりに食べたケーキは、とても甘くて驚くほどおいしかった。でも、それより胸が温かい。

「今日ね、リコーダーのテストだったんだよ」

「お前、ちゃんと練習したのか?亜梨沙ちゃんは音楽が得意だったね。愛に教えてやってくれ」

「はい!じゃあ、愛ちゃんには勉強を教えてもらいま〜す!」

「あらいいわね。教え合うなんて」

人と食べるご飯やスイーツはおいしい。こんな日々が当たり前になったらいいのにな……。



家族が帰ってくるまでの二週間、私は愛ちゃんの家でお世話になった。愛ちゃんの家で泊まって、温かくて楽しい二週間を過ごした。

愛ちゃんのお父さんに勉強を教えてもらって、愛ちゃんのお母さんと一緒に料理を作って、愛ちゃんと買い物に行ったりゲームをして……。家ってこんなに温かい場所なんだ。

「亜梨沙ちゃんがいると、娘が一人増えたみたいでいいな」

「そうね。本当はもう一人子どもがほしかったけど、諦めてしまっていたから……」