涙の先にあるのは、きっと

「愛から話を聞いてまさかとは思っていたが、これは立派な心理的虐待だ」

愛ちゃんのお父さんは怒り、愛ちゃんのお母さんは「辛かったよね。もっと早く助けてあげられなくてごめんね」と言い泣きながら抱き締めてくれた。

「亜梨沙ちゃん、いつも泣いていたからただの喧嘩じゃないってすぐにわかったよ。でもここまでひどいなんて……。今まで頑張ったね」

愛ちゃんたちが泣いてくれることが、怒ってくれることが、とても嬉しい。また涙が出る。でもこれは嬉しい涙だって自分が一番わかっているからーーー。

誰かの前で、初めてたくさん泣いた。たくさん思いを吐き出した。それは私にとって大きな一歩。久しぶりに幸せを感じたんだ。

「ねえ、ケーキ食べようよ。亜梨沙ちゃんが最初に選んで」

私が泣き止んだ後、愛ちゃんが冷蔵庫からケーキの箱を持ってやって来た。有名なケーキ屋さんの箱だ。ケーキを食べるのも何年ぶりだろう……。

箱の中のケーキは、まるで私が来ることがわかっていたかのように四人分入っていた。私はその中からショートケーキを選ぶ。