涙の先にあるのは、きっと

「大丈夫。私が亜梨沙ちゃんを助けるから」

愛ちゃんはそう言い、私の手を引いて歩き出す。その「大丈夫」という言葉が、もう苦しまなくていいと言っているような気がして、私はあれだけ泣いたのにまた涙が出てきてしまった。

「いいよ、泣いても」

私の肩を抱きながら、愛ちゃんは優しく言ってくれた。こんな風に優しくされたなんて、何年ぶりだろう。

そのまま私は愛ちゃんの家へ連れて行かれた。私の家とは比べ物にならないほど、大きくて立派な家が姿を見せる。愛ちゃんの家に行くのは久しぶりだ。

「お父さん、お母さん、亜梨沙ちゃんも一緒にご飯食べていい？」

愛ちゃんがそう玄関で大声で言うと、リビングから愛ちゃんのお父さんとお母さんが姿を見せた。二人ともニコニコしている。

「いらっしゃい、久しぶりだね」

「今日はグラタンを作ったの。デザートにはお父さんが買ってきてくれたケーキがあるわよ」

突然やって来たのに、愛ちゃんのお父さんたちは私に何も訊かずに歓迎してくれた。愛ちゃんは「ケーキ！？やった！！」と喜んでいる。