「その腕の傷や、顔の傷……すべてその橘組の若頭にやられたの?」 切なそうにそう言う海桜さんに私は申し訳なくなって咄嗟に怪我を隠した。 「隠さないで。女の子なんだから身体に傷跡が残ったら大変でしょう? 私の知り合いにね、優秀な医者がいるの。治してもらいましょう」 「……そ、そんな! 大丈夫です。こんな怪我すぐ治るし……怪我をさせられるようなことをしたのも私なので……」 「……蘭ちゃん」 静かに名前を呼ぶ海桜さんにビクッとする。 ……桜夜くんと同じで圧がすごい……