「海桜でいいわよ。菊磨くんも桃李くんも名前で呼ぶから」 それは幼なじみだから…… 私なんかが桜夜くんのお母様のことを下の名前で呼んでいいのかな。 「……緊張しないで、蘭ちゃん。ここの人間には心を開いていいのよ」 「……」 お母様はそう言って私の手をギュッと握った。 暖かい……桜夜くんに握られた時と同じ暖かさだ。