「この世界にいたら、全てを疑わなきゃいけないから……傷つくこともあるかもしれないよ」 切なそうにそう言う桜夜くんに私はズキっと心が痛む。 その表情。桜夜くんは傷ついたことがあるの? 「私は……桜夜くんがいるから怖くないよ」 「……え?」 「そりゃ"流星"にいた時は怖くて逃げ出したかったけど、今は怖くない。この世界を理解して桜夜くんを支えたいと思ってる」 「蘭……」 真っ直ぐ桜夜くんの目を見てそう言う私に桜夜くんは私の手をギュッと握った。