透明な世界で、ただひとつ。



堺に言われた通り、ぐっと押し出すようにボールを転がす。

今までよりもよっぽどはやいスピードと軽やかな音でレーンの奥へと走っていく。

最後にはガラガラと音をさせた。



「え、何本倒れた?」

「7本。やったじゃん。」



突然の好成績に驚くばかり。

残された二投目でな端と端の3本を全て倒すことは出来なかったが、私の機嫌は上々。

堺も笑っているように見えた。



それから少しずつコツを掴み始めた私はスコアを上げていった。



「え、全部いった?スペアじゃない?」

「うん、そう。やったじゃん。」



最後にはスペアにこぎついた私。

また、同じように言って私の髪をわしゃわしゃっと撫でる。



スコアはもちろん堺に勝てるなんてことはないけれど、たった1回のスペアでも嬉しかった。

また、堺から笑顔をもらった。