透明な世界で、ただひとつ。



翌日、夕飯をとってから母の運転する車で堺の家にむかった。



「この辺って梅鶴荘の近くだね。」

「そうだね。

...あ、雪。」

「ほんとだ、傘持ってきてよかったね。」



車の中でさえ空気が冷たいと思ったら綿のような細かい雪が降ってきていた。



「お母さんは降りなくていいよ。雪降ってるし大変でしょ?

じゃあ、良いお年を。」



私は母にそう言って車を降りた。

スマホの懐中電灯機能を使って足元を照らす。

ぼんやりと見える地面を恐る恐る歩いていく。



インターホンの微かなランプを見つけて光で照らす。
そのボタンを押すと堺の声が返ってくる。



しばらくしてドアが開いた。

堺は笑顔で迎え入れてくれた。



「雪降ってんのな。」

「降り出したばっかぽいよ。」