透明な世界で、ただひとつ。



外に出ると、もう日は沈んでいて景色はぼんやりとうつるだけ。

もともと病気の症状で視野が狭い私にとっては、歩くのはちょっと危ない。



「瑞希、手。」



私の目のことは知らないはずなのに、堺は私の手を引いてくれた。

その優しさが、あたたかさが嬉しくて、強く握り返した。



右手から伝わる大きな安心感で、私は暗い道も不安に思わずに歩けた。



「私たちもカップルに見えるのかな。」



お店のショーウィンドウからの光を遮る影を見ながら言う。



「そうかもな。」



付き合っているわけでもないのに手を繋ぐ私たちは一般からすれば変なんだろうな、とちょっと思った。

きっとあの影は互いのプレゼントだったりケーキを選んでたりするんだと思う。



でも、クリスマスプレゼントとかケーキとか。
あんまり私たちらしくない。

私は堺の隣にいれるだけで十分すぎる。