透明な世界で、ただひとつ。



あれから試験が終わり、今日は終業式があった。

返された試験の結果は15点堺の方が高かった。
ほらやっぱり、受験生にはかなわない。



「じゃあね、堺。」



順番に荷物を持ち帰って身軽な私は終礼後、すぐに席を立とうとした。



「瑞希、24日暇?」

「24?予定はないけど。」

「じゃあ遊びに行かね?」



私は驚きで二、三度瞬きをくりかえした。



「チケットもらったんだ。期限年内だし、みんな忙しいみたいで。」



堺はらしくもなく、わずかに目を左右に泳がしながら話をする。



「いいよ、行こっか。」



なんかその姿が新鮮で、嬉しくて私ほ笑ってこたえた。



「あ、でも夜は毎年家族でご飯だから5時ぐらいには帰らなきゃだけど、許してね。」



私は慌ててそう言った。

日が暮れる前に帰る口実、作っとかなきゃ。



「じゃ、良いお年をじゃなくて、また今度。」