透明な世界で、ただひとつ。



夕方になってきたのか、西向きであろう窓の方から太陽の熱を感じる。



「堺、今何時?」

「4時すぎだよ。」

「ありがと。



...1日付き添ってもらっちゃってごめんね。」



今、母は先生の説明を聞きに行っている。

こんな状況でも落ち着いていられるのは、繋いだ手から伝わってくる熱のおかげだと思う。



「大丈夫、そばにいるって約束したじゃん。」

「そうだね。」



その言葉だけで、口角が緩む。



「ねね、夕焼けは綺麗?」

「うん、綺麗なオレンジ色してる。」

「そっか、じゃあ明日は晴れだね。」



目を閉じた私の視界にはカーテンの開けられた窓の向こうの大きな夕焼けを背負い、優しい笑顔を浮かべた堺の姿が映る。

中途失明にあたる私は今までの記憶と結びつけて世界を紡ぐことが出来る。