「んん……」

俺、田中大輝(たなかだいき)が目を覚ますと、一面真っ白な世界が広がっていた。

「ここ、どこだ……?」

俺はただ真っ白な空間に横になっていた。真っ白な空間には家具も壁も見当たらない。ただ、白が永遠のように広がっている。

どうしてこんなところにいるんだろう?俺は今まで何をしてたんだっけ?そんなことを考えていると、ズキッと激しく頭が痛み、俺は頭を押さえる。すると、忘れていたことが一瞬にして思い出されていく。

俺は学校の部活から帰る途中だった。六時を過ぎていたけど、まだ夏場で明るいからと何も考えずに家へと帰っていたんだ。

でも、裏路地に急に誰かに俺は連れ込まれた。俺を連れ込んだのは夏だというのに黒いパーカーを着た怪しげな男。そして、俺はその男にナイフで刺されて意識を失った。

「ここはあの世ってやつなのか?本では綺麗な花畑って聞いたことがあるけど」

俺はそう呟きながら立ち上がる。その時、上の方から声が聞こえてきた。