この世界からの逃避行

常に一緒に登下校している莉子を迎えに行く。
私より朝が弱い莉子はいつもギリギリまで寝ているのだ。

「おーーい莉子ーー!」

「…ぁみずきいまいく」

寝起きの莉子は幼子のような拙い喋り方で
小さい頃から変わらないなぁとしみじみする。

「おはよ」

「莉子、あと20分だよ急いで」

莉子とふたり、学校までの長い道のりを走る。
私の方が足が早いため莉子と手を繋ぎ連れていく。
この島では当たり前の光景でいつも通りに過ぎない。

「おや莉子ちゃん深透ちゃんおはよう」

「村中のおばちゃんおはよ!行ってきます!」

「元気がいいねぇ、行ってらっしゃい」

通学路で色んな人に声をかけられる。
これも当たり前だった。
いつもの朝、いつもの光景。
当たり前の日常すぎて恋の存在は夢だったんじゃないか、とまで考えてしまう。

「あっぶな、今日も無事間に合ったよかったぁ」

「もう少し莉子早く起きれないの?」

「無理ってことは深透が一番知ってるでしょ、今更言わないで」

ぴしゃりと悪気もなくいう莉子に笑みが零れた。