この世界からの逃避行

「深透ちゃんのお弁当、美味しい、ね」

「んふふ、ありがとう。母さんが料理上手いからね」

「羨ましい、なぁ」

羨ましいという彼女の表情は暗く、何も読み取れなかった。
ただ、絵になる風景だった。


「ごちそうさま、でした」

「綺麗に食べてくれてありがとうね」

「久しぶりにこんな美味しいの食べた、こちらこそありがとう」

恋の瞳から涙が一粒零れた理由も、全部見なかったことにして。