この世界からの逃避行

幸せだった。



この瞬間が永遠に続けばいいのに、とさえ思った。





「おはよう深透」

「…莉子」


久しく言葉を交わさなかったが突然声をかけられ戸惑う。
莉子は変わった。
チビと言われていた高橋と付き合い(高橋もとっくに背は伸びていた)髪も茶髪に染め…とあげたらキリがないくらい垢抜けていた。

真っ赤に染め上げられたルージュの口の片方を嫌に吊り上げて


「昨日あたし見ちゃったの」


と言った。


「なにを、」


嫌な予感がする。
全身から変な汗が出て震える。