この世界からの逃避行

恋の泣き腫らした目を冷やそうとしているうちにチャイムが鳴ってしまったが今日くらいはサボらせてもらおう。
これでも毎回授業に出ていた優等生の神野深透だ。
そのくらいは許してほしい。


「深透。」

「…え」

ソプラノの綺麗な声で私の名前を呼ぶ恋。
何かが吹っ切れたのか呼び捨てで呼ばれ嬉しさと混乱と愛おしさが混ざる。

「ふふ、深透って呼んでいい?」

「もちろん」

にっこりと笑う彼女はオドオドしていじめられっ子だったと話して泣いていた彼女では無く最初に見た凛とした姿だった。
これがホントの姿だったのだろう。
「弱い宮沢恋」という着ぐるみが剥がれ落ちたかのようで。


やはりとても美しかった。