この世界からの逃避行

半分ほど食べた頃恋がぽつりと話し出した。

「私、ね。」

彼女が語ったのはその容姿からは分からないほど暗い過去だった。


両親は幼い頃に離婚しており父親が引き取ったが育っていくうち母に似ていってしまう容姿故に暴力を受けていた。
まともに服なども与えられなかった為クラスではイジメにあっていた。
小5にあがった時父親が再婚し新たな義母に対して父がいい顔を見せようと私立に入れさせられる。
私立に入りなにか状況が変わるかと思えば更に悪化しただけであった。
別に特別裕福という訳ではなくむしろ貧乏だったため制服などは中古で買い小学生の頃いじめられていた為人が怖くオドオドしてしまう彼女はお金持ちの少女達にとってのまさに“ペット”だった。
そこからは典型的な酷いいじめを受けてきたらしい。
トイレに顔を突っ込まれたり机の中には虫を入れられたりなど。
やがて耐えきれなくなった彼女は自殺を試みるが何かと気をかけてくれていた担任に止められる。
色々と手続きをしてもらい遠縁のこの島に住む「杉山のばあちゃん」のとこに引っ越してきたらしい。

「でもね、杉山のおば様厳しいの。
やっぱり私の事嫌っててどうしてもダメなんだぁ…ははごめんね。なんか深透ちゃんには話したくて。」

ぼろぼろと大粒の涙を零す彼女は美しかった。
そしてとても愛おしかった。
ぎゅ、と抱き締めるととても華奢な彼女は私の腕の中にすっぽり収まってしまう。
小さな肩を震わせて咽び泣き続ける彼女を守りたいと、この日初めての感情が生まれた。