この世界からの逃避行

やがて4時間目が終わりチャイムが鳴る。

「恋、屋上行こ」

「中村さんは…?」

「はは、断られちゃった」

恋はその形のいい瞳を少し伏せ小さな声で謝ってきた。

「恋は気にしないでよ、さ行こ」

4階まで上がりぎぃ、とがたつく扉を開ける。
こんなに老朽化しても直さないのは私たちより下の学年がもうほぼいないから。
大好きだが本当に閉鎖的な島だ。

「うわぁ…!!!」

周りが田んぼだらけな事に驚いたのだろう。

誰が置いたのか、なんのためにあるのか分からない椅子に腰掛けて恋に昨日約束したお弁当を渡す。
母さんは転校生が来たことを知っていた。
こんな島だからか相変わらず噂が伝わるのが早い。

「本当にこれ食べていいの…?ありがとう!」

もぐもぐと美味しそうに頬張る姿はリスを連想させとても可愛かった。