エドワードはニコニコ笑いながらメニューを見始める。絵麻はアイコンの写真で見た人物が現れ、自分を知っていることに驚いた。本物の国際ロマンス詐欺の犯人ならば、顔写真はネットで手に入れた全くの別人だからだ。

「パパ、この人と知り合いなの?」

エドワードの隣でエドワードによく似た男の子が絵麻を見つめる。絵麻は「こんにちは」と動揺しながらも笑って挨拶をした。

「息子のアレンです。内戦地に私が行っていつも以上に寂しい思いをさせてしまったので、日本に一緒に行こうと誘ったんです。絵麻さんがFacebookで上げていたカフェに行きたくて寄ったら本人に会えるとは思っていませんでしたけどね」

エドワードは笑い、カタコトの日本語で自身のコーヒーとアレンのためにオレンジジュースを注文する。その表情はどこからどう見ても犯罪とは無縁の善人だ。

「私、勘違いしていたってこと……」

絵麻は恥ずかしくなり、顔を手で覆う。エドワードは本気で絵麻にアプローチしていたのだ。しかし、絵麻は職業柄、エドワードを国際ロマンス詐欺の犯人だと決めつけてしまった。