花が開くように、青い宝石が輝くように、眩しくて仕方がないこの胸にある思いを、人は夢と呼ぶのだろう。

一瞬の煌めきだったとしても、未来を描くことに変わりはない。

夢が見つかった時、人は新たな物語と出会う。その物語がどのような結末になるかはその人次第ーーー。



「……本当に、夢は変わらないの?」

先生に訊ねられ、中学三年生の青葉(あおば)は真剣な顔で頷く。そんな青葉の隣では母親が先生と同じような心配げな表情をしていた。今日は三者面談の日だ。

窓の外には青空が広がり、セミの鳴き声が聞こえてくる。三年生の夏は、進路を決めていく大切な時期だ。青葉は自分の夢を掴むため、地元から離れた県外の高校へ行きたいと言った。

「この高校の生徒の進路は、医大に通っていることが多いです。僕の夢は小児外科医。だから、医大に通う近道になるなら県外に出ることも怖くありません!」

真剣な顔で青葉は言うが、「待って。ここじゃなくても医大には進めるでしょ?それにね、小児外科医なんて簡単になれるものじゃないのよ」と母親が隣で言う。