仕事が終わり帰る。
まだ嫁は帰ってないみたいだった。

軽くシャワーを浴び着替えすぐ家を出た。

車をマンションの前に止める。

『ついた』

しばらくして小走りで女が出てくる。
無言で助手席に乗る。

『走り方きめえ』

「何それ」

言葉のわりに嬉しそう。

「明日普通に仕事なんだけど」

『俺もだよ』

「嫁は?」

『娘迎えに行ってんじゃね?
いなかったけど』

「酷い旦那だな」

『その旦那と会うお前はなんなの』

「さぁね」

こいつは華月。元カノ。
たまにこーやって飲みに誘う。

俺が話す分には黙って家庭の話を聞くけど深くは聞いてこないから楽。

『今日の嫁の飯めちゃくちゃ美味かったんだよ』

「良い嫁さんでよかったやん」

言葉とは裏腹に少し悲しそうな顔をする。

『そーだな、お前と結婚しなくてよかったよ』

チラッと横目で確認すると今にも泣き出しそうな華月。

『冗談だよ』

頭を撫でると赤面した。

いい年の女がこんなことくらいで赤くなるなよ…本当調子狂う。

別れて3年。
華月はまだ俺のことが好きらしい。
俺らは不倫してた。