きみに想いを、右手に絵筆を

「和奏先輩、大好きっ」

 彼女のつぶらな瞳を見つめ、俺はキョロキョロと首を動かした。

 彼女のお母さんに見られていないと判断し、俺は彼女の唇にキスをした。

「俺も好き、すごい好き」

 百合菜ははにかんで笑い、片手で髪を触りながら目を伏せた。

 ピンク色に染まった頬が可愛いらしい。

 そこに手を触れて、柔らかな髪をスッと耳に掛けてやる。

 顔を傾けて、二度三度と彼女の唇を堪能した。

 シャンプーの香りなのか、百合菜からはいつも花のような良い香りがした。

 聞くと向日葵オイルというものが入ったシャンプーを使っているらしい。

 庭に立つ三本の向日葵は、今年も鮮やかに咲いていた。

 黄色の花びらを広げ、太陽の陽をさんさんと浴びて咲き誇った。

 明るい光景を目に焼き付けながら、ああ、何て幸せなんだろうと思った。

 大好きで愛おしい百合菜がこうして隣りにいてくれたら、俺はきっとどこへでも進んでいける。

 俺の肩に寄りかかった百合菜の細い肩をぎゅっと抱いた。


 きみに想いを。

 そしていつまでも、右手に絵筆を。


     ***END***