きみに想いを、右手に絵筆を

 首を捻りながら電話を切り、再びズボンのポケットにスマホを仕舞う。

「電話。お友達の方ですか?」

「うん。俺教室戻るわ。またな、白河」

 言いながら、彼女の頭をくしゃっと撫でると、彼女は陽だまりのような笑みで小さく頷いた。

 それから日々を重ね、ヨシと覚悟を決めてキャンバスに向き合った。先ずは下絵からだ。

 キャンバスの上にスケッチブックを置いて、既に頭に思い描いた構図を元に描いていく。

 彼女の輪郭を形取り、彼女のイメージ、雰囲気が伝わる背景を併せて描いた。

 一日一日時間を掛けて、色にもこだわり、俺は俺だけの世界に居る白河 百合菜を創造した。

 *

「わっかーなくんっ!」

 部活の時間。美術室で油絵具を塗り重ねていると、野球部姿のタツがやって来た。

 次の美術展で白河を描くという事は既に報告済みだ。

「俺の要望を叶えてくれてありがとうッ! すげーじゃん、マジで可愛いじゃん!」

「だ〜ろぉ〜?」

 俺は調子付いてまた鼻を高くした。

「何てったって、俺の絵の大ファンらしいからな」

 このままだと背中に羽が生えて、天狗にもなりかねない。

「で? どうよ?」

「何が?」