きみに想いを、右手に絵筆を

 ふと枕元に置いたスマホに意識が向いた。ディスプレイを開くと、一通のメッセージが届いている。

【和奏先輩、おはようございます。今日、待ち合わせの場所と時間はどうしましょう?】

 あ。

 スマホの中央に小さく表示された時計を見ると、既に九時前だった。

「……っと、こうしちゃいられねぇっ!」

 白ゆりのメッセージに一気にテンションが上がり、急いで返事を返した。

 *

 白ゆりと初めて会った昨日は五月一日の金曜日で、今日からゴールデンウィークだ。

 彼女に絵のモデルを依頼した俺は、ちゃっかり連絡先もゲットしていた。

 締め切りが迫っているので、出来れば連休中のどこかでプライベートで会えると助かるんだけど、と低姿勢にお願いすると、彼女は快くオーケーしてくれた。

 二日の今日。俺は晴れやかな気分と天気で白ゆりとデートする。

 と言っても、行き先は広々とした公園のみだけど。

「和奏先輩っ!」

「おう」

 最寄駅で待ち合わせをして、彼女と並んで公園へと歩く。

 白ゆりは私服も可愛かった。女の子らしく白のワンピースを着ていて、頭に帽子をかぶっている姿がどうにもたまらない。

 その姿は、必然的に人の目を引いた。