☆ほのかside☆

*****


「ほのかちゃん。
 俺と結婚してください」


 私の部屋。

 大好きな彼からの穏やかで甘い声に
 脳がゆるっと溶けていくのがわかる。


 私はベッドに腰をかけたまま。

 隣に座る蒼吾(そうご)さんの
 まっすぐな瞳から
 目が離せられないでいた。


 今の言葉って、本気なの?

 蒼吾さんの隣にずっといる相手が
 私なんかでいいの?


 信じられなくて。
 聞き間違かもって不安になって。

 おどおどと蒼吾さんの瞳を
 見つめることしかできない私。



「俺じゃ……ダメかな?」


 自信なさげに悲しく光る瞳に
 ハッとして、慌てて声を漏らす。


「本気……ですか?」


「え?」


「釣り合わないですよ……私なんて……」


 だってそうでしょ?


 蒼吾さんは
 会社の女の子たちの注目の的。


 仕事もできるし
 目鼻立ちがはっきりしたイケメン。


 しかも、男女問わず大人気の
 スポーツウエアメーカーの副社長。


 それなのに
 性格が穏やかで人懐っこくて。

 そのギャップに
 会社の女の子たちの悲鳴が上がるほど。