「いい……けど……、綾星くんもはまったの? このドロ痛に」
うっ、そこは触れないで欲しかった。
はまんねーよ。
レイジのセリフを目にすると、得体のしれない恐怖で心臓がワサワサするくらい、拒絶反応が起きるんだよ。
でもさ、ほのかがなんでレイジにキュンとするのか知りたいし。
それに、このマンガ以外でほのかの部屋に居座る口実なんてない。
「俺はただ知りたいだけ」
「え?」
「女の子たちに大人気のマンガなんだろ? どうしたらさ俺のファンの子たちをもっと虜にできるかなって思って」
そんなの嘘、大嘘。
『俺が虜にしたいのはお前だけだよ、ほのか』
……って、おいレイジ!
お前のせいで、身震いするような甘いセリフをほのかに言っちゃうとこだったじゃねえか。
怖い怖い、マジで恐怖。
恥ずかしさが血液と一緒に、体中を駆け巡ってしまう。
俺の顔のほてりは高熱レベル。
ハズすぎる顔なんて見られたくなくて、漫画を適当に開きながら自分の顔を隠し、ドロ甘レイジの顔をじっと睨みつけた。



