☆ほのかside☆

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 今日のステージの綾星くんも、
 別人みたいだったな。


 綾星くんが私の家に来たあの日から
 一週間後。


 『また見に来いよ。俺の……ライブ……』


 帰り際に言ってくれた言葉を信じて
 アミュレットのライブに行ってみた。


 ステージの上では
 私と二人だけの時に見せる悪魔顔は
 絶対に出さない。

 優雅な微笑みで、
 数えきれないくらいの女の子たちの
 ハートを、
 キュンキュンさせていた綾星くん。


 私にシャーベットブルー色の
 ネックレスをくれた人と
 同一人物だと思えない。


 綾星くんがライブ中に1回だけ、
 私に微笑んでくれた。

 アイドル顔で。ニコって。


 その顔を思い出すと
 なぜか胸がジリジリと熱くなる。

 そしてその熱が、体中を巡って。
 私の脳をゆっくりと溶かしていく。


 なんだろう。この感覚。


 心地いいような。
 怖いような。
 両極端な感覚は。


 とりあえず
 とろけていく脳を固めなきゃと、
 冷えた麦茶を一気飲みし終えた時。

 ピンポーンと
 インターフォンが鳴った。


 あ……綾星くん……かなぁ……


 なぜか飛び跳ねるように
 動き出した心臓。


 それとは正反対に
 どんな顔を綾星くんにむけていいか
 わからない私の足取りは、
 ナマケモノさんみたいにノロマ。


 なんとかインターフォンの
 モニターにたどり着くと、
 画面には、私の心を激しく動かしている
 張本人が映っていた。