ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目


 ドキドキがおさまった頃、ほのかが作ってくれた野菜炒めをごちそうになった。

 でも俺たちの間には、弾まない会話がポツポツ湧く程度。

 もう夜の7時を回っている。

 そろそろ帰る時間だよな?

 お互いにそう思っているような空気が、どんよりと流れている。


 春輝に脅されてるんだから、ほのかに告白しろ! 

 チャンスは今しかない!

 強気の俺が心の中で怒鳴っているけど……

 ムリだって、マジでムリ。

 はっきりわかっちゃったから。

 今もほのかは、イケメン御曹司で頭の中がいっぱいだって。


 今の俺にできること、それは……

 ほのかと一緒にいられるこの時間を、少しでも引き延ばすことぐらい。

 その口実として『ドロ痛』を利用させてもらおう。


「ほのか、まだ時間大丈夫?」


「あ……うん」


「このマンガ、もうちょっと読んでいってもいい?」


 俺の言葉に、ほのかのまぶたが限界まで開ききってしまった。


 そうだよな。

 極上に甘いマンガを読みたいって俺が言ったら、そりゃビックリするよな。