「好き……です」
「は?」
驚くように目を見開いた店員さんと視線が絡んで、恥ずかしさが込み上げてきた。
なぜか駆け足で動き始めた心臓。
「店員さんのオムライスの方が……おいしいです」
「そういうのいいから」
「え?」
「俺に気を遣うとか、いらない」
どうしよう。
やっぱり伝わってない。
言葉選びに焦る私。
手で口元を覆い、うつむいたままの店員さん。
って……え?
店員さん、頬だけじゃなく耳まで真っ赤だよ。
「どうかしましたか?」
「別に……」
「体、だるいですか?」
私の問いかけなんて無視。
二人の間に無言の時間だけが過ぎていく。
「私……気に障ること……言っちゃいましたか?」
「綾星……」
「え?」
「俺の名前……あやせだから……」
私の顔を避けるようにうつむいたままの店員さんの弱々しい声が、二人の間に流れる空気を優しく震えさせた。
「綺麗な名前ですね」
「お前は?」
ひぇ?
ただ名前を聞かれただけなのに、ドクンと胸が飛び跳ねたのはなぜだろう……



