ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目


「アム……レト?」


「アミュレット!」



 英語が読めない私に向かって呆れ声を出した店員さんに、首をかしげる私。



「どういう……意味ですか?」



 あ~もう!と奇声を発しながら、店員さんは髪を掻きむしっている。



「お守りって意味」



 そうなんだ。

 でもなんでアミュレットなんてケチャップで書いたんだろう……



「なんで……お守り……?」


「お前が酷い恋なんてしてるからだろ。それ以外に意味なんてない」



『早く食べろ。固まるだろ、たまご』と付け足しながら、店員さんは私にスプーンを差し出した。


 はいと弱々しく答え、スプーンでオムライスをすくって口に運ぶ。



 おっ……おいしい!!



 お弁当屋さんで売られているオムライスとは、全然違う。

 手の込んだデミグラスソースではなく、市販のケチャップ味。


 でもふわトロの甘い卵に、ケチャップの酸味が混ざり合って。

 今まで食べたオムライスの中で、一番おいしい。



「どう?」



 自信なさげな声をたどるように視線をあげると、悪魔モード弱の輝きを帯びた瞳が、心配そうに私を見つめていた。



「やっぱりあっちの方がいいよな?」


「あっち?」


「親父の作ったデミグラスの方……」



 そんなことないです。

 絶対に店員さんが作ってくれたオムライスの方が、おいしいです。



 そう伝えたいのに、何かをこらえるように黙々とオムライスを口に運ぶ店員さんに、なんて声をかけていいかわからない。