ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目


「あ……あの……」


「聞こえたよな?」


「へ?」


「ついて来いって言ったんだけど」



 はっきり聞こえたけど……

 ついて来いってどこに?



「え……と……」


「お前に拒否権ないからな」



 それって、あなたに助けてもらったから?

 浮気発覚の最前線から、救いだしてもらったから?



 この状況にどうしていいかわからず、降参の白旗を掲げた私の脳。



 って、ダメだよ。

 そうやっていつも、人の言いなりになちゃうんだから。



 明らかに困っている私に絶対に気づいているはずなのに、完全無視の店員さん。
 

 不安で濁った私の瞳と反するように、店員さんは瞳を力強くギラつかせていく。



「ほら、行くぞ」



 行くってどこに?

 ついて行ったら、とんでもないところに連れて行かれちゃいそう。

 

 悪魔に捕まってしまったような恐怖と引き換えに、止まった涙。

 体中の神経が震えだして手におえない。