「ほのか。目をつぶって」
芯の通った真剣な目に捕らえられた私の瞳。
「だから、早く」
「あ……うん……」
綾星くんに急かされ、慌ててまぶたを閉じる。
すると私の耳に、甘い吐息がかかった。
「ひゃ!」
くすぐったくい。
体をくねらせながら、恥ずかしい声が飛び出てしまう。
「あれ? ほのかって耳よわいの?」
「そんなこと……」
「そっかそっか。じゃあもっと耳をイジメたら、ほのかの心の中、俺で独占できちゃうかもな」
綾星くんは悪魔モードの甘い声でささやくと、私の耳に唇を押し当てた。
「ちょっちょっと……綾星くん……」
ダメ。
なんかダメ。
変な声が出ちゃうから、耳はダメ。
綾星くんの色っぽい声が、私の耳元で甘い熱に変わる。
「ほのか、顔真っ赤」
「綾星くんがイジワルするから」
「もっと俺に、イジメて欲しい?」
クククと明らかに楽しんでいる綾星くんに、弱々しく反論。
「そんなこと……ないよ……」
「ほのかってば、典型的なドMだもんな」
「ド……ドMって……」
「自分で分かってんだろ?」
うぅ……
わかって……います。
だって。
悪魔モードの綾星くんにイジられるの……嫌いじゃないから……
どちらかというと……大好き。



