「絆創膏貼ってあげる……綾星くんの指から血が出たら……」
「持ってないくせに」
「う……」
ここは私のお家じゃないし。
確かに絆創膏なんて持ってない。
「それでも、綾星くんの指を傷つけるのは……嫌なの……」
「わかってる」
「へ?」
「ほのかが俺を傷つけられないことくらい」
いたずらしちゃった子供みたいなやんちゃ笑顔の綾星くんに、私の心がムギュンと掴まれたのがわかる。
今の笑顔……
かわいすぎ……
ってダメダメ、綾星くんを甘やかしたら。
私をからかって楽しんでいるんだかから。
軽く睨んでみた。
ほっぺも膨らませてみた。
でも悪魔の微笑みは変わらない。
「冗談でもあんなこと言わないで……」
「半分は本気だよ」
へ?
いきなり悪魔オーラが消え、私の手から綾星くんの手のひらの温もりが消えた。
私が睨んじゃったから、怒らせちゃたかな?
もしかして嫌われたのかも。
突然襲ってきた不安の波に飲み込まれていく私の心。
私の脳が後悔で埋め尽くされた時、綾星くんの腕が私の胸の前に絡んできた。
そして私を後ろから力強く抱きしめた。



