「ほのかの人生、俺にちょうだい」
「え?」
「残りの人生、全部」
「どっ、どうして?」
「ほのかの笑顔、俺だけのものにしたいから」
綾星くんの真剣な声に、胸が飛び跳ねた。
「わわっ私の笑顔なんて、綾星くんに好きになってもらう価値、全然ないよ……」
「笑顔だけじゃない。ほのかの照れた顔も、泣いた顔も、怒った顔も、他の男に見せたくない。マジで」
「なんで……?」
「ほのかのこと取られそうで、不安になるから」
ちょっと、ダメだよ。
後ろから抱きしめながら、甘い言葉をささやくなんて。
幸せすぎる。
綾星くんから離れられなくなっちゃう。
後ろから抱きしめてくれている綾星くんの手のひらが、私の頬を包み込んだ。
強引に引き寄せられ、綾星くんの顔に近づいていく。
「ほのか、大好き……」
甘い囁きが、私の脳を一瞬でダメにする。
ゆるっと溶けた脳が、もう綾星くんを受け入れている。
「私も……」
そう答えた時にはドロ甘なキスが幾度となく降り注ぎ、神経を麻痺させるような快感が襲ってきた。



