「それって御曹司が好きってこと?」
綾星くんの言葉にほっと安心した。
まだバレてないんだ。
私が口走った言葉が、綾星くんへの想いだって。
気持ちを落ち着かせるように、体中の息をゆっくり吐いたけど。
いきなり襲ってきた後悔の波。
誤解されてるってことだよね?
私がまだ蒼吾さんを好きだって。
嫌。
このままじゃ嫌。
誤解されたままなんて、絶対に嫌。
私は綾星くんのTシャツの裾を握りしめ、ゆっくりと視線を上げた。
苦しそうに顔をゆがめる綾星くんと、瞳が絡む。
バネのように飛び跳ね続ける心臓に手を当て、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「大好きなのは……綾星くんのことです……」
恥ずかしくて、うつむくことしかできない。
怖くて、綾星くんの返事が怖くて、目をギューっとつぶってしまう。
その時
「ごめん」
たどたどしい綾星くんの言葉が、悲しく耳に響いた。
ごめんか……
やっぱり私じゃダメよね……



