綾星くんの言葉が信じられなくて、うつむくことしかできない私。
「やっぱり俺じゃ勝てないよな、御曹司には」
悲しみを含んだのがはっきりわかる綾星くんの声に、私はハッとなり顔をあげる。
「ちがう……ちがう……勝てないとかじゃなくて……」
どうしよう、どうしよう。
誤解されたくない……綾星くんにだけは……絶対に。
心臓が激しくバウンドして、体中の血液が猛スピードで駆け巡りだして、私の脳がグチャグチャにかき混ざっていく。
何か言わなきゃ。
今すぐに……
えっと……その……
「好き……です……」
「え?」
言っちゃった。
綾星くんに『すき』って伝えちゃった。
体中の血液が逆流する。
恥ずかしさが体のいたるところから染み出してくる。
困っているよね?
こんな私が綾星くんに好きなんて伝えたから。
でももう遅い。
私の口から飛び出した言葉は、駄菓子屋に売っているピロピロ笛みたいに戻って来てはくれないから。



