ショッピングモールからアパートまでの記憶は、ほとんどない。
とりあえず帰ろう。
ナマケモノさんのところに帰ろう。
その思いだけで、なんとかアパートにたどり着いた。
手を洗うこともしないで、自分のベッドに顔からバタリ。
気持ちよさそうに寝そべっている抱き枕のナマケモノさんの胸を、思いっきり締め付け抱きしめた。
私って、勇気を出して綾星くんに会いに行った意味、あったのかな?
綾星くんとの関係は、何か変わったかな?
変わってないよね、全然。
私が綾星くんに会いたかったって。
毎日会いたくて、会いたくてたまんないって。
素直な気持ちを伝えられなかったんだもん。
好きだよって言えなかったんだもん。
私なんかが、綾星くんに好きになってもらえるはずないってわかっている。
分かっているはずなのに。
どうしても捨てきれない綾星くんへの想い。
私はこの想いを、どう処理したらいい?
時間が経てば宝物のような思い出とともに消え去ってくれる?
このマンガも手放さなきゃダメだよね。
綾星くんがサインを書いてくれたドロ痛の最終巻。
前の巻で、雪ちゃんはレイジ君の元を去った。
レイジ君からの甘くて重すぎる想いを、受け止めきれないからって。
マンガのレイジと雪ちゃんは、ハッピーエンドになって欲しいな。
私の恋はもう、綾星くんと交わることができなさそうだから。
二人の恋を見届けたくて、ドロ痛の最終巻を開く。
カバーに隠された綾星くんのサインに、目を向けた。
え?



