ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目


 何……SOSって……

 マトイが言っていることが、全くわからない。

 俺にがっかりしすぎたような呆れ声が、マトイの口から飛び出した。


「自分の部屋に入ったら、ピクリとも笑わねえよ。春は」


 は? 


 ほとんど笑顔キープの春輝が、自分の部屋で笑わない?

 冗談だよな? 

 マトイは俺を騙しているだけだよな?


 そんなこと1ミリも信じられない俺の心は、荒波に浮かぶ船のように激しく揺らぎだした。

 だって悲しい瞳のマトイを、俺の目が捉えたから。


 マトイのこの言葉……

 マジなやつだ……


 マトイは春輝の部屋に居候の身。

 俺が知らいな春輝を間違いなく知っている。 


「俺には普段笑ってる春が、痛々しく見えてしょうがない。あいつがそうやって生きるって決めたんだ。文句言う資格ねえし、黙ってるけど」


「マトイ……」


『他人の心配なんて、俺はしねえ』

 それがマトイの口癖なのに。

 心配してることを素直に口に出すマトイの姿から、春輝の闇の深さがわかってしまう。


「綾星さ、春に甘えんな」


「甘えてなんか……」


「これ以上闇を抱え込んだら、あいつマジで壊れるから」


 いつも高圧的で自信満々なマトイ。

 穏やかに俺を諭す態度が、いつもと違いすぎて逆に怖すぎる。


「春のこと見てくる! 綾星は来るな。雅も近づけるな。わかったな!」


 マトイの怒鳴りに近い命令口調。

 いつもならもっと優しく言えよ!ってイラつくのに……

 言葉の棘が刺さっているのは俺じゃない。

 間違いなくマトイの方。

 そう思うと何も言えなくて。


 痛々しいマトイの背中を見送りながら、俺はまたメイク台の上に顔をへばりつけた。