これって……サイン?

 ……じゃ……ないよね?


 
 このメッセージ……

 私…… 真に受けちゃっていいの?
 信じちゃってもいいの?


 綾星くんの文字に吸い付くように
 私の瞳が逃れられない。



『オムライス 食べに来いよな』


 
 オムライスなんて……
 食べに行けないよ……


 だって私……
 サイン会に行くことで
 勇気を使い果たしちゃったもん……


 綾星くんのお家に行く勇気なんて。
 もう、残ってない……

 
 サワサワと揺れる私の心。
 ごまかすように、瞳を閉じる。

 そして、ナマケモノさんの手のひらを
 思いっきりほっぺに押し当てた。


 本当に欲しい手のひらは、これじゃない。


 そう気づかされて
 余計に心が締め付けられた。