その後。



 夕ご飯をどうしようか?ということになり、私が大好きなお店に二人で歩く。



 繋がれた手の温もりに、幸せを感じずにはいられない。

 だって初めてだから。

 蒼吾さんと、家の外で手をつなぐなんて。




 蒼吾さんは次期社長ということもあって、誰にもばれないように付き合ってきた。

 会うのはいつも私の部屋。



 本社勤めの蒼吾さんとは、車で2時間ほどの遠距離恋愛。

 月に1回くらいしか会えないけれど、時間ができた時にはサプライズのように会いに来てくれる。




「ほのかちゃん、本当にお弁当屋さんでいいの?」


「はい」


「俺の馴染みのレストランも絶品ぞろいだよ」


「蒼吾さんにも……知ってもらいたくて……」


「何を?」


「その……私の……大好きな物……」


「え?」


「あっ、ごめんなさい」


「なんで謝るの?」


「わがまま……すぎですよね?」