ココロ〜食べなきゃ幸せになれない〜

楓がそう言っても浩二は「女の子のくせに体重がそんだけあるとかデブじゃん」と馬鹿にしたように笑う。そして冷たい声で言い放った。

「痩せないっていうなら別れる?お前よりスタイルいい子を見つければいいだけの話だしさ」

初めてできた彼氏に捨てられたくない、そんな焦りから「待って!!」と楓は大声を出した。

「……わかったよ、ダイエットするから」

「じゃあ絶食な。食べたらお前デブになるんだから」

結局、カフェで楓は目の前でおいしそうにご飯を食べる浩二を見つめることしか許されなかった。でも、捨てられるよりはマシだと楓は自分に言い聞かせる。

こうして、楓のダイエットが幕を開けた。



好きな人に「デブ」と言われたこと、女の子として見られないと言われたことがショックで、楓は自分は本当にデブなんだと思い込んだ。鏡に映った自分が恐ろしく太っているように見え、食べるということが一気に怖くなっていった。

「楓、ご飯よ〜」

お母さんがそう言うが、楓は「いらない」と言って自分の部屋に篭る。そして襲ってくる空腹に耐え続けた。