そんな子が、ある日を境に毎日怪我をして帰るようになった。
「転んじゃって…」
最初は少し抜けてる結月の事だからと信じてた私は、次第に酷くなる傷に不信感を覚えた。
それでも笑っている結月には何も聞けなかったけど。
「…っ絢くん、玲華……」
ある日の放課後。
今日は用事がある、と水瀬との下校を断った結月。
その結月が、目の前に現れた。
「結月…?」
その結月の姿は未だに脳裏に焼き付いて離れない。
「…っ、」
切り刻まれたような制服と、その隙から見えた傷だらけの体。
結月の震えはおさまらなくて、水瀬の事すらも拒絶した。
「…玲華、頼んだ。」
幸い私の事は拒絶しなかった結月だけど、その時の水瀬の顔は酷く傷ついていた。

