玲華side
「遊佐」
エントランスで頭を抱えていた後輩を半分引きずり病室に連れて行く。
それは水瀬に許可を得る為でもあった。
「…すみません俺、清水さんの幼馴染でもあんのに水瀬さんの事2回ぶん殴りました。」
素直に吐くところをみると、本当にこの男は馬鹿だと思う。
嘘をつけず、素直で真面目。
曲がったことは大嫌いで、一途な男。
「それはいい。…遊佐がぶん殴ってなかったら私がしてただろうし。」
ただ、水瀬を責めるのは1人だけでいい。
あの男も馬鹿だから。
「…話そうか、水瀬の過去の事。」
私が隣にいて起きていた、あの悲劇を全て───。

