「…誕生日プレゼント被っちゃったの。ごめんね。」

俯いている俺の視界に入ってきた綺麗な小さな箱。

被っちゃった、が妙に気になる。





「大好きだよ。…バイバイ。」


追いかけなきゃ、莉茉が行ってしまう。

でも───体が痺れて動かない。





「…っあの女…」

さっきまでの激しい頭痛も、何もかもあの女が何か酒に仕込んだんだろう。





『おかけになった電話をお呼びしましたが───』


さっきから何度かけても電話は繋がらない。

機械的な女の声が更に不安にさせる。






「…馬鹿だな、俺は…」


目に付いた、玄関に置いたままの箱を開けた。




「ごめん、莉茉…っ」


きっと何度謝っても足りないだろう。


けど────




「ごめん…────」