「アンタの計画は、どの道莉茉を傷つける。」


この女がどこから俺の過去の事を知ったのかは知らない。

…が、そんな安易な挑発には乗らないし俺はもう莉茉を傷つけたくはない。




「…あーあ、気づいちゃったかぁ。」


あはは、と狂ったように笑ったあと、葛西さんは俺のネクタイを掴んだ。




「もう絢都くんには手は出さない。…だから今夜、1時間だけでいいの。付き合ってくれない?それで最後にするから。」




───今思えば、この時に断っていればよかったのかもしれない。







「わかりました。」




少し前に戻れるのならば、間違いなく違う道を選んでいたのに。