「大丈夫?遊佐くんったら、酷い事するのね。」


誰もいない医務室。

…いや、この女──葛西 茜がいるか。



「大丈夫ですから。…で、話ってなんですか?」

葛西 茜のあからさまな好意に気が付かないほど馬鹿ではない。

でもそれに乗るほど阿呆でもない。




「絢都くん、はっきり言うわ。私と付き合「お断りします。」


この女の誘い…否、脅しには一度だけ乗った。

それがこのネクタイピン。



「…いいの?」

これはこの女の脅し文句。


「莉茉になにをしても“いいの?”」という事だ。





「…葛西さん、俺間違ってました。」


遊佐の言うことは正しい。
俺は、間違った守り方で莉茉を守った気でいる。