───そんなこんなで、運命の日がやってきた。
「仕事終わり、ちょっといい?」
仕事関係なら今言えばいいのに、そうじゃないとなると何も心覚えがない。
そんな緊張がっちがちで、時が過ぎるのは早く仕事終わりの時間がやってきた。
水瀬さんの助手席に座って、車に揺られるまま連れてこられたのは水瀬さん御用達のようなレストラン。
夜景の見える窓際で、向かい合って座った途端水瀬さんは話し始めた。
「…あのさ」
いつもより少しだけ低い声。
どんなことを言われるのかと心構えの為に目を瞑った。
「───俺と付き合ってくれない?」