「なーにしてんの篠宮!」

「ゆ、遊佐くん!」


いつもそのふたりを見ていた私に話しかけてきてくれていたのが遊佐くん。

遊佐くんも同期から人気で、その頃から仲が良かった。



「あー…水瀬さんと清水さん?付き合ってるって噂あるよな〜」

「だよね……」


仲の良いふたりを見つめていたら、少し胸が苦しくなって私はその場から離れた。


付き合ってもいないし、友達と言える関係でもないのに勝手に嫉妬するなんて私、少し変だ。




「…わ…っ」


駆け足で大量の資料を持ち歩いていると、見事にヒールで転んだ。

…すごい馬鹿なことしたかも。





「大丈夫?」


転んだ目の前に見えるすらっとした足と、その声は知っている。