「だから“そういう事”は私か、避けさせたい遊佐の前だけにして。わかった?」 そ、そういう事って…… 「…悪い。冷静さに欠けてた。」 そう言って絢くんは、何事も無かったかのようにスタスタと自分の部署へと行ってしまった。 「全く…身勝手な男。大丈夫?莉茉」 頭をポンポンとする玲華の手があたたかくて、少し寂しくなった。 「…うん。」 絢くんが何を考えているのか、私はちっともわからない。 絢くんは自分の考えを私に教えてくれる人ではないから。